2026.11.07
特別講座「ケアとライフプロジェクトを考える これからのデザインと生き方」

私たちは、日々の暮らしの中で、誰かをケアし、また誰かにケアされながら生きています。家族や友人、地域の人々との関係だけでなく、社会制度、テクノロジー、自然環境との関わりの中にも、さまざまなケアの営みが存在しています。一方、デザインは、人々が自らの生き方を構想し、日常生活をつくり変えていく実践へと広がっています。その一つの考え方が、ミラノ工科大学名誉教授エツィオ・マンジーニの提唱する「ライフプロジェクト」です。ライフプロジェクトは、人生をあらかじめ決められた計画に従って生きるのではなく、他者や社会との関係の中で、自らの生き方を継続的につくり出していく営みとして捉えられます。そして、他者への配慮、支え合い、依存や相互扶助といったケアの関係性の中で、私たちのライフプロジェクトは形成され、変化していきます。このような視点より、武蔵野美術大学では、岩嵜ゼミでは「LIFE PROJECTS」という活動や、社会人向け価値創造人材育成プログラムでは「VCP for ライフプロジェクト」を実施しています。
本イベントでは、ミラノ工科大学デザイン学部博士課程で認知症とともに生きる人々の「sense of home」を研究し、東京では手話を軸としたコミュニティ拠点を共同運営する和田夏実氏を迎えます。ヨーロッパのケア現場でのフィールドワークと、手話コミュニティの場づくりという二つの実践を往復しながら、ケアの視点からライフプロジェクトを捉え直し、これからのデザインの役割と可能性を探ります。
和田氏は、欧州の博士研究ネットワーク「HOMEDEM」の一員として、認知症とともに生きる人々にとっての「ホームをつくること」をデザインの視点から研究してきました。ミラノのケア拠点などでのフィールドワークを通じて、「ホーム」とは住まいという物理的な場所だけではなく、記憶を宿すモノ、場の空気、日々の小さな営み、人との関係の織りなしによって、その都度立ち上がるものであることを研究しています。同時に、ろう者の両親のもとで日本手話を第一言語として育った和田氏は、東京・谷中(西日暮里)に、手話を使う人々が集い、表現し、学び合う拠点「5005」を公共の中にホームをつくることをテーマに立ち上げました。言語や身体のあり方が異なる人々が、互いに共在しながら「自分たちの場所」をつくっていく実践です。
本イベントでは、この二つの現場から見えてきた「ホームの感覚」とケアの関係を手がかりに、一人ひとりのライフプロジェクトを支えるデザインの可能性について議論できたらと思います。ケアとライフプロジェクトに関わらず、これからの生き方やデザインの可能性に興味がある多くのみなさんの参加をお待ちしています。
◾日時:2026 年 12 月 21 日(月) 19:00-21:00(18:30 開場)
◾会場場所:武蔵野美術大学市ヶ谷キャンパス・コワーキングスペース「Ma」
◾オンライン参加:zoom による参加 ※参加リンクは当日までにご共有いたします。
◾主催:武蔵野美術大学ソーシャルクリエイティブ研究所
◾共催:(株)X デザイン研究所
◾協力:カルチャーシフト・デザイン研究所、日本デザイン学会 ID 部会
◾参加費:
・会場参加:2000 円(学生は無料・事前申込必要)
・オンライン参加:2000 円(学生は無料・事前申込必要)
◾お申し込み(Peatix):
https://peatix.com/event/5263485
◾プログラム:
19:00-19:20 オープニング「ケアとライフプロジェクト」
山﨑和彦(武蔵野美術大学ソーシャルクリエイティブ研究所特別研究員)
19:20-20:30 話題提供「ケアから生まれるホームと生き方」
和田夏実(ミラノ工科大学博士課程/インタープリター/リサーチャー)
20:30-20:55 対話「ケアとライフプロジェクトを考える」
和田夏実 × 山﨑和彦 x 会場参加者
20:55-21:00 クロージング
◾こんな方におすすめ
・自分らしい生き方や「ライフプロジェクト」に関心がある方
・ケアや支え合いを通して、人々の暮らしや生き方を考えたい方
・人と人とのつながりや、コミュニティ・居場所づくりに関心がある方
・インクルーシブな社会づくりに関心がある方
・製品やサービスの問題解決を超えた、これからのデザインの可能性を探究したい方
・大学生や研究者など、この領域に興味がある方
◾講師プロフィール:和田夏実(インタープリター/リサーチャー)
ミラノ工科大学デザイン学部博士課程在籍。東京大学大学院 学際情報学府 研究員。ろう者の両親のもとで日本手話を第一言語として育つ。2022 年に手話と出会いの文化センター5005、アートリサーチ組織、一般社団法人 oooを設立し、共同代表を務める。近年は、LOUD AIR と共同で感覚を探るカードゲーム”Qua|ia”や、たばたはやと+magnet として触手話をもとにしたつながるコミュニケーションゲーム”LINKAGE”、”たっちまっち”、認知と脳に関する研究、ことばと感覚の翻訳方法を探るゲームやプロジェクトを展開。
◾講師プロフィール:山﨑 和彦(武蔵野美術⼤学ソーシャルクリエイティブ研究所特別研究員)
(株)X デザイン研究所共同創業者/研究員、武蔵野美術⼤学ソーシャルクリエイティブ研究所特別研究員。京都工芸繊維大学卒業後、クリナップ(株)を経て、日本 IBM(株) UX デザインセンター長(技術理事)、千葉工業大学デザイン科学科/知能メディア工学科教授、武蔵野美術大学教授を経て現職。神戸芸術工科大学博士(芸術工学)号授与、東京大学大学院博士課程満期退学。グッドデザイン賞選定委員、日本インダストリアルデザイン協会理事、経産省デザイン思考活用推進委員会座長、日本デザイン学会理事など歴任。「うれしい体験のデザイン UXで笑顔を生み出す 38 のヒント」など著書多数。デザインの実践・研究・教育とコンサルティングに従事。
◾参考資料
・HOMEDEM
https://dipartimentodesign.polimi.it/en/research-projects/homedem-co-designing-a-home-with-dementia
・5005
https://5005place.com/
・武蔵野美術大学 VCP FOR LIFE PROJECT
https://vcp.musabi.ac.jp/lifeproject/