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2025.04.07

「つくる思考」展 ─つくる・思考する・ともに生きる─

つくるためには観察が必要です。観察は思考を育みます。つくることを通じて私達は思考を深め、世界に対する解像度を高め、想像の翼を広げることができるようになります。

つくることはまた、人との力合わせや協働の契機にもなります。それは身体レベルでの共鳴を生み出します。つくることを通じて、人はわかり合えずとも支え合えるようになります。

そして、つくる人は失敗する人でもあります。つくる人は失敗を知っているから他人の失敗にも寛容になれます。だからつくる人は優しい。遊び心に満ち、失敗を笑い飛ばして、膠着を前に進めます。

つくること(演じること、描くこと、表現すること一般がここには含まれます)にはこれだけの力があります。つくる力を通じて世界をよりよく変えていくことを私達は「つくる思考」と呼びます。

これまで美術大学は、つくることの力を信じ、つくる人を育てるための教育を担ってきました。今後は、つくる人を育てることを通じて、つくる思考を社会に広げ、この世界をより良い方向に変えていくことに美術大学は寄与しなければなりません。美術大学が培ってきたつくる人をつくる技術を生かし、つくる思考を一般の人にも広げることができれば、誰もがつくることに参加できる社会をつくることができると私達は考えています。

つくるのは一部の専門家、その他大勢の人は買うだけ、使うだけの消費者でしかない。そういう社会を私達はつくってきてしまいました。モノだけではありません。社会そのもの、毎日の暮らし。それをどれだけ自ら創造していると、一人一人が実感しているでしょうか?この社会をつくるのは、まちをつくるのは、日々をつくるのは、政治家や役人やデザイナーやコンサルタントの仕事でしょうか?

つくることは引き受けることです。誰かに任せ、誰かのせいにして、不満と不平を抱えて生きるのでなく、日々を引き受けて生きる。一人ひとりが日々をつくる人になる。個が自律的・主体的に生きながらも、人と力を合わせて生きる社会を自律協生社会と私達は呼んでいますが、それは一人ひとりがつくる人でもある社会です。つくる思考が浸透した社会です。

自律協生社会をつくるためにできることは何か。それを武蔵野美術大学と日本総合研究所の共同研究拠点「自律協生スタジオ(コンヴィヴィ)」では日々、探求・実践してきました。大学の中にとどまらず、地域の中にも出て行きながら、自ら日々をつくる人々を創造することにコンヴィヴィでは挑戦しています。

 

本展覧会では、武蔵野美術大学市ヶ谷キャンパスにおける講義とコンヴィヴィによる地域での取組を紹介しながら、つくる思考の可能性とそれを社会に広げるための方法について考えてゆきます。

 

武蔵野美術大学 日本総合研究所

主催
武蔵野美術大学ソーシャルクリエイティブ研究所
開催日程
4月18日(金)〜5月2日(金)
開場時間
10:00〜20:00
※最終日17:00まで
会場
武蔵野美術大学、市ヶ谷キャンパス2階・1/M(イチエム)
東京都新宿区市谷田町1−4
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